MT-10SPと遊ぶ!

Road to 10万キロ

<後編>ステアリングステムベアリング、グリス交換

ステアリングステムベアリングのグリスをオメガ57に変更しました。<グリス交換編>
f:id:Lu_PaPa:20211227043739j:plain

 前回の続きです。Frフォークが外れました。それではブラケット廻りの構成部品を確認します。

f:id:Lu_PaPa:20211228125318p:plain

 トップナットを緩めるためにハンドルバーを外し宙吊りにします。そしてトップナットを外します。そうしますと平ワッシャが現れます。

f:id:Lu_PaPa:20211228130826j:plain
 平ワッシャのR面取りされている向きがナット側(上側)を向いていました。ここの部分の平ワッシャは、トップナットを本締めしたとき、アッパブラケットの座屈を防ぐことが目的だと思うので、R面取りの向きをアッパブラケット側(下側)に向けた方が個人的には良いと思いました。そして面取り側の平面は、仕上げが綺麗ですし。平ワッシャのR面取りは、保護したい側に向けるのが好きなんです(素人のたわ言です)。トップナットを外し、ハーネスのクランプを外すと、アッパブラケットを持ち上げてずらすことが出来ます。

f:id:Lu_PaPa:20211228130559j:plain
 アッパブラケットを完全に外すには、イグニッションスイッチとイモビアンテナのカプラーを抜く必要があります。そのカプラはエアクリーナBOXの下にあります。サイドカバー、燃料タンクを外さないとアクセス出来ないです。そんなことしてられません。

f:id:Lu_PaPa:20211228132756j:plain
 SSTを用いてロックナットを外します。ステムナットを外す前にロアブラケットを左右に振り、何となくで良いので感覚を掴んでおきます。もうばね測りでは計測出来ない力です。ステムナットを完全に外すとロアブラケットが落下するので注意です。

f:id:Lu_PaPa:20211228134338j:plain
 無事にロアブラケットが外れました。地面に直置きは良くないですね。

f:id:Lu_PaPa:20211228134723j:plain
f:id:Lu_PaPa:20211228134735j:plain

 ロアベアリングとレースにはグリスがたっぷりです。問題ないです。

f:id:Lu_PaPa:20211228134838j:plain
f:id:Lu_PaPa:20211228134850j:plain

 アッパベアリングとレースも問題ないです。

 ベアリングは普通に手で抜けるので古いグリスをよく洗浄します。レース側は抜けませんが同様に洗浄します。洗浄が終わり脱脂をしたら、オメガ57を手のひらにたっぷり乗せ、隅々に届くよう執拗に練りこみます。レースにも薄く塗っておきます。

f:id:Lu_PaPa:20211228140043j:plain
f:id:Lu_PaPa:20211228140057j:plain

 ロアブラケットを付け、ステムナットを取り付けます。20N・mで締め付けます。

f:id:Lu_PaPa:20211228141210j:plain
 ロアブラケットを左右に数回振り、なじませます。そしてもう一度20N・mで締め直します。また左右に数回振ります。そして緩めます。また20N・mで締め、同じことを繰り返します。違和感がなくなるまで、もしくは納得できるまで数回行います。最後、20N・mで締めた後、1/4回転ナットを緩めます。このステムナットの締め加減(緩め加減)が肝で操舵力が決まります。手で緩むか緩まないかのギリギリが良い、などと聞いたことも有ります。ロアブラケットを左右に振り、外す前の感覚と違和感がないか確かめます。良ければ、回り止めのワッシャをはめ、ロックナットを指定トルクで締めます。

 アッパブラケットを乗せ仮締めします。Frフォークをロアブラケット側だけ仮付けしておきます。トップナットを指定トルクで締めます。フォークの突き出し量を左右とも1.1mmに合わせ、ロアブラケット側ボルトを”均等”に締めます。そしてアッパブラケット側ボルトも締めます。最後に指定トルクで締めます。私は23N・mの20%減18N・mで締めました。ハンドルも元に戻します。突き出し量に変化がないか確認します。

 フェンダーを取り付けますが、まだ仮締めでガッタガタの状態で良いです。

f:id:Lu_PaPa:20211228144458j:plain
 次はタイヤを付けます。ダストシールのリップの溝にグリスを充填します。メインリップと補助リップの間にグリスがいることが大事だとNOKの技術資料が語っています。ここは高速回転で接触している部位なのでスーパーゾイルのグリスにします。

f:id:Lu_PaPa:20211228145042j:plain
 アクスルシャフトにも錆防止でゾイルを薄く塗ります。車体左側だけアクスルシャフトの上を直にダストシールが回転しますのでより丁寧にグリスを塗ります。

f:id:Lu_PaPa:20211228145406j:plain
f:id:Lu_PaPa:20211228145416j:plain

 アクスルナットの指定トルクは100N・mですが、私の好みで88N・mで締め付けます。車体右側のピンチボルトを2本均等に指定トルク23N・mの20%減18N・mで締めます。車体左側のピンチボルトは手締めです。キャリパを仮留めします。ジャッキをすべて解きます。メインスタンドを降ろし、前後進させブレーキの力を活用してフォークを沈ませることを数回行います。これでフォークの平行が出るので、なるべく直立状態のまま左側のピンチボルトを18N・mで均等に締めます。

 あと一息です。もう一度Frタイヤをジャッキで浮かせます。そしてブレーキキャリパを外します。せっかくなので、ホイールリム振れのデータを取ります。

f:id:Lu_PaPa:20211228151725j:plain
f:id:Lu_PaPa:20211228151716j:plain

axial・軸方向 0.38mm
radial・周方向 0.2mm

 サービスマニュアルでは使用限度が2mmだそうです。個人的には2mmは有り得ないと思います。1mmになったらベアリング交換すべきではないでしょうか。前車Vスト650xtもリミット2mmでした。前々車ZX-6Rは、スタンダードが軸方向0.3mm・周方向0.5mm、サービスリミットが1mmでした。スタンダードという表記がどのような解釈か分からないのですが、ベアリングを組み付けた時に、と意訳しています。

 次はキャリパですが、ピストン表面のダストを軽く落とし戻します。そして手締めで仮止めします。タイヤを回転させブレーキ握る、を数回繰り返します。この行為はキャリパの座りを良くします。最後ブレーキを握ったままにして、キャリパを指定トルク39N・mで均等に締めます。その後、フェンダやその他の部品を締めます。

 これで組完ですね。最後、操舵力をチェックします。左操舵1N、右操舵3Nでした。車両の平行が出ていれば2Nといったところでしょうか。

f:id:Lu_PaPa:20211228153954j:plain
f:id:Lu_PaPa:20211228154004j:plain

 試走を行います。異常はなさそうで良かったです。操舵が二段階軽くなり、滑らかな感じが・・・たぶんプラシーボ効果なんでしょうね。緩すぎかな、とも思いますが正解が分かりません。サービスマニュアルの指定値2~5Nの範囲内なので様子見とします。また、次回ツーリングする時には、最低でもFrアクスルシャフトのナットとブレーキキャリパのマウントボルトは、必ずトルクチェックを怠ってはいけません。

 グリスのグレードアップ作業って、ただただ自己満足度を増すための作業ですよね。しかし、10万キロを目標としている私のVストには必須の作業です。これでベアリングのレースが長持ちしてくれるはずです。しかし、子供の面倒を一切見ないで作業に没頭していたので、妻殿のピリピリ感をひしと感じます。これでほとぼりが冷めるまで整備が出来なくなってしまいました。ピボット廻りも分解してオメガ57に交換したかったのですが。。。

 最後までご愛読ありがとうございました。

[memo]走行距離1600キロ